総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ・基礎データ I 健康・医療)」の指標 I5102「一般診療所数」から、対象期間1975年〜2023年・47都道府県分の年次推移を収録しています。値の単位は施設数(整数)。人口比較ではなく絶対数です。集計値(全国)は除外しています。
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このランキングについて
本ランキングは、都道府県別の一般診療所数(施設数・絶対数)を1975年から年次で収録したものです。人口当たりではなく実数のため、人口規模の大きい都府県が上位に来ます。地域の医療アクセスを比べる場合は、医師数や病床数のランキングとあわせてご覧ください。
データから読み取れる傾向
最新年の上位は東京(14,894施設)・大阪・神奈川・愛知・兵庫と人口順にほぼ一致し、下位は福井・高知・鳥取の人口小県が並ぶ。注目したいのは水準の変化で、東京は1975年の10,745施設から約1.4倍に増えた。全国的にも診療所数は半世紀を通じて増加傾向が続いており、人口が減少局面に入った後も施設数は増え続けている。
この「人口減でも診療所は増える」現象の背景には、高齢化による医療需要の増加と、病院勤務から開業へ移る医師のキャリア構造がある。編集部としては、本ページ(施設の数)と医師数・病床数(医療資源の量)を並べて、自分の県の医療体制を立体的に眺める使い方をおすすめしたい。
ここでも伸び率の首位は沖縄で、1975年の358施設から2023年に928施設へと2.6倍になった。本土復帰後に医療インフラを一気に整備した歴史は、歯科医師数や医師数の推移とも共通する沖縄の統計の型だ。神奈川も3,666施設から7,150施設へ2.0倍と、人口流入に開業が追随した。対照的に山口は1,249施設から1,194施設へと、半世紀で数少ない「減少」を経験した県になっている。人口減少が早く進んだ県では、閉院が開業を上回る局面が既に始まっている——全国の増加基調の内側で、静かな逆転が起きつつある。
診療所の「中身」もこの半世紀で大きく変わった。かつては入院ベッドを持つ有床診療所が地域医療の担い手だったが、現在の開業は外来専門の無床診療所が主流で、駅前のクリニックモールに複数の診療科が集まる形が都市部の標準になりつつある。施設数の増加は、医療がより外来中心・アクセス重視へ変わってきたことの表れでもある。この供給の変化が高齢化のスピードに追いついているかは、高齢者10万人あたり医師数が示すとおり楽観できない。施設の数・医師の数・高齢者の数の3枚を重ねて読むことをすすめたい。
順位の変動では、茨城が23位から13位へ、奈良が38位から26位へと上がった。いずれも大都市圏の外縁で人口を受け入れた県で、診療所の開業が人口の後を追った形だ。下がった側の青森(28位→37位)・島根(36位→43位)は人口流出の裏返しである。時点を区切って見ると、1999年の東京は11,548施設で、1975年からの四半世紀で約800施設の増加にとどまるのに対し、1999年から2023年までの四半世紀では3,300施設以上増えた——増加はむしろ近年ほど加速している。高齢化による外来需要の膨張が、開業のペースを押し上げ続けていることの表れだ。なお最下位圏の鳥取(474施設)・高知(514施設)も、面積や人口を考えれば決して「診療所が乏しい県」ではない——絶対数の下位はほぼ人口の少なさの反映であり、アクセスの実態は人口あたり・面積あたりで確かめる必要がある。ここでの「一般診療所」は入院ベッド20床以上の病院と区別される医科の施設を指し、歯科診療所は含まれない——「町のお医者さん」の数を数えた統計だと考えると分かりやすい。
雑学クイズ
「診療所」と「病院」は何で区別される?
病床数。医療法で、病床19床以下(または無床)が診療所、20床以上が病院と定義されている。(出典)
日本で「国民皆保険」が実現したのはいつ?
1961年。全国の市町村で国民健康保険事業が始まり、誰もが公的医療保険に加入する体制が整った。(出典)
医療施設の数を調べている厚生労働省の統計調査は?
医療施設調査。全国の病院・診療所の分布や設備を把握するための基幹統計で、静態調査と動態調査がある。(出典)
あわせて読みたい
- 都道府県別医師数の推移 — 施設数ではなく人で見る医療資源。
- 都道府県別病床数の推移 — 入院医療の受け皿側。
- 都道府県別男性平均寿命の推移 — 医療アクセスとの関連が議論される指標。
出典: 総務省統計局「社会・人口統計体系」都道府県データ I 健康・医療(statsDataId: 0000010109, I5102 一般診療所数), 政府標準利用規約 2.0(CC BY 4.0 互換)。