国別淡水取水量の推移(1970年〜2022年)

世界銀行 (World Bank) が公開する年間淡水取水量データから、対象期間1970年〜2022年・上位30か国分の年次推移を収録しています。値の単位は立方km(小数点以下2桁)。観測年がスパースな国が多く、欠損年は値を持たないため補間していません。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。

国別淡水取水量の推移(1970年〜)

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Source: World Bank — Annual freshwater withdrawals, total (billion cubic meters) (ER.H2O.FWTL.K3) · CC BY 4.0 · accessed 2026-05-07

このランキングについて

本ランキングは、世界銀行が公開する国別の年間淡水取水量(立方km)を収録したものです。農業・工業・生活用に河川や地下水などから取り出した水の量で、最新年の取水量が多い順に上位30か国を対象としています。観測年は国によりばらつきがあります。

データから読み取れる傾向

最新年の上位はインド(648立方km)・中国・米国・インドネシア・パキスタンと、人口大国と灌漑農業の盛んな国が並ぶ。世界の取水の約7割は農業(灌漑)用とされ、上位国の顔ぶれは人口規模に加えて『どれだけ水を引いて農業をしているか』を映している。乾燥地で大規模灌漑を行うパキスタンが人口の割に上位なのはその典型だ。

注意したいのは、取水量の多さは必ずしも『水が豊か』を意味しないことだ。むしろ乾燥地で地下水をくみ上げて灌漑する国ほど取水が多く、水資源の枯渇リスクと隣り合わせのことがある。1人当たりや水ストレス(再生可能な水量に対する取水の割合)で見ると景色は変わる。編集部としては、この絶対量ランキングは『水をたくさん使う国』であって『水が余っている国』ではない点に注意して、農地面積割合と合わせて読むのがよいと考えている。

このチャートで最初に知っておきたいのは、なめらかに見える線の多くが実際には補間だということだ。日本の値は1980年の88.20から1990年の91.00まで、毎年きっかり0.28ずつ増えている。米国は1980年の517.60から1990年の465.10まで毎年きっかり5.25ずつ減り、インドは1975年の380.00から1985年の496.70まで毎年きっかり11.67ずつ増える。実測が数年おきにしかない指標を、提供元が直線で埋めた形跡である。折れ線の途中の点は観測値ではない。

右端の「横ばい」も同じ理由で疑ってかかりたい。この30か国のうち19か国は、最新3年の値がまったく同じである。インドは2010年から2022年まで13年連続で647.50、インドネシアは2016年以降ずっと222.63、米国は2015年以降444.29、日本も2020年から2022年まで79.70で動かない。取水量が安定したのではなく、最後に得られた実測値がそのまま繰り返されているだけと見るのが自然だ。

収録国数の偏りも大きい。値のある国は1970年から1974年まではイタリア1か国だけ、1980年で13か国、1995年で25か国、全30か国がそろうのは2012年以降である。左端に描かれる「1位」は世界一という意味ではなく、その年に値のある唯一の国という意味でしかない。単年だけ跳ねる値もあり、イタリアの2008年は53.56だが前年は33.42、翌年は33.59。ドイツも2013年25.33・2014年31.31・2016年24.44と大きく上下していて、推計の基準が変わった可能性がうかがえる。

こうした癖を差し引いても、長い方向はいくつか読み取れる。米国は1980年の517.60から2010年の418.80まで約100立方km減らした。人口も経済も伸びるなかでの減少で、灌漑効率の改善や産業構造の変化がうかがえる。逆にインドネシアは1990年の74.33から2016年の222.63へ3倍になった。取水量を比べるときは、値そのものより「いつの実測か」を確かめてから読むのが、この指標との正しい付き合い方である。

雑学クイズ

世界の淡水取水のうち、最も大きな割合を占める用途は?

農業(灌漑)。世界全体でおよそ7割を占めるとされ、工業用・生活用がそれに続く。(出典

利用可能な水量に対して需要が大きく、水不足が生じる状態を何という?

水ストレス(水不足)。取水量が再生可能な水資源に対して高い地域で深刻になる。(出典

農作物や製品の生産に間接的に使われた水の総量を表す概念は?

バーチャルウォーター(仮想水)。輸入食料の生産に使われた水を、輸入国が間接的に使ったとみなす考え方。(出典

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出典: World Bank「Annual freshwater withdrawals, total (billion cubic meters)」(ER.H2O.FWTL.K3), CC BY 4.0。