国別医療費(1人あたり)の推移(2000年〜2024年)

世界銀行とWHOが公開する「1人あたり経常医療支出(米ドル)」データから、対象期間2000年〜2024年・上位30か国分の年次推移を収録しています。医療制度の規模と先進度を反映する指標で、米国・スイス・ノルウェー等が上位常連です。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。

国別医療費(1人あたり)の推移(2000年〜)

Chart ready. Press play to start.

年:
速度:
チャートの操作方法

「再生 / 一時停止」で年次アニメーションを開始・停止、年スライダーで任意の年へ移動、速度セレクタ(0.5×/1×/2×)で再生速度を変更できます。各年は上位12件を表示し、収録データは最新年の上位30件です。

Source: World Bank / WHO — Health expenditure per capita (SH.XPD.CHEX.PC.CD) · CC BY 4.0 · accessed 2026-05-11

このランキングについて

この指標について。 「国別医療費(1人あたり)の推移」は 世界銀行 (World Bank) が公開するデータ(指標コード SH.XPD.CHEX.PC.CD)を本ランキングが整形したものです。値の単位は ドル です。

このチャートの見どころ。 注目したいのは支出と成果のねじれだ。米国は12,000ドル超と独走するのに平均寿命はOECD中位以下、日本は米国の3分の1以下の支出で世界最長寿クラス——「高いほど良い」が成り立たない珍しいランキングになっている。

注意点。 1人当たり医療費は名目米ドル換算のため、為替と物価水準の影響を受けます(購買力平価ベースでは各国差は縮みます)。公的・民間の両支出を含む一方で、介護など周辺費用の線引きは国によって異なる点にも留意してください。

データから読み取れる傾向

1 人当たり医療費は米国が圧倒的な 1 位を独占してきた。全 30 か国の値がそろう最後の年である 2023 年でも 13,473 ドルで、2 位スイス (11,784)・3 位リヒテンシュタイン (11,495)・4 位ノルウェー (8,296) を引き離している。米国の突出は「民間保険主導+薬価が高い+医療従事者の人件費が高い」という構造的要因によるもので、平均寿命などのアウトプット指標と必ずしも対応していない (米国の平均寿命は OECD で中位以下)。

上位グループのもう一つの特徴は、北欧 (ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、アイスランド)、スイス、ルクセンブルクといった所得水準の高い小国で構成されること。日本は 2020 年の 4,582 ドルをピークに 2023 年は 3,638 ドルで 30 か国中 24 位。対 GDP 比では世界トップクラスの 11 % 超だが、絶対額では米国の 4 分の 1 程度にとどまる。これは公的医療保険制度が薬価・診療報酬を統制的に低く抑えていることに加え、名目ドル建てのため円安が値を押し下げていることの両方による。長期トレンドは上位国で右肩上がりが続き、医療技術の高度化と高齢化の同時進行が見える。

編集部としては、米国のバーの独走だけで読み終えず、平均寿命ランキングと往復して見ることをすすめたい。支出 1 位の国が寿命の上位にいないという「ねじれ」は、両方のページを並べて初めて見えてくる。

この系列を読むときにまず確かめたいのは、その年に何か国分の値があるかだ。2019年から2023年までは30か国すべてがそろっているのに、2024年は15か国しかない。しかも欠けている15か国には米国・スイス・リヒテンシュタイン・ノルウェー・モナコ・日本といった上位の常連が含まれる。2024年の首位がルクセンブルクの8,170ドルになっているのは、米国が報告していないからであって、米国を抜いたわけではない。

全30か国がそろう最後の年である2023年で見ると、米国は13,473ドルで断然の首位である。2位スイス11,784、3位リヒテンシュタイン11,495、4位ノルウェー8,296、5位モナコ8,004。米国は2000年に4,549ドルだったので、23年で3.0倍になった。2016年の9,536ドルから2023年の13,473ドルまで、7年で4,000ドル近く増えている。

24年間の伸びで目立つのはアイルランドだ。2000年の1,565ドルから2024年の7,395ドルへ4.73倍、順位は20位から3位へ上がった。ルクセンブルクも2,901から8,170へ2.82倍、オランダは2,028から6,845へ3.38倍で14位から5位、アイスランドは2,856から7,642へ2.68倍である。韓国は475ドルから3,137ドルへ6.60倍と倍率では最大で、29位から15位へ上がった。

日本の動きは逆方向を向いている。2000年の2,751ドルから2010年4,072、2020年に4,582ドルでピークを打ったあと、2022年4,202、2023年は3,638ドルまで下がった。ピークから20%以上の減少である。医療費が実際に減ったというより、名目の米ドル建てで測っているため円安がそのまま値を押し下げていると考えるほうが自然だ。2023年の順位も30か国中24位で、この指標では日本は下位グループに入る。

雑学クイズ

すべての人が必要な医療を経済的な困難なく受けられる状態を指す、WHOが掲げる理念は?

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)。SDGsの目標の一つにも位置づけられている。(出典

日本で全国民が公的医療保険に加入する仕組みを何という?いつ確立した?

国民皆保険。1961年に達成され、現在まで日本の医療制度の土台になっている。(出典

医療費を国際比較する際、経済規模の違う国を同じ尺度で比べるためによく使う指標は?

対GDP比(GDPに占める医療費の割合)。1人当たり額と合わせて見ると、医療への資源配分の度合いが分かる。(出典

あわせて読みたい

出典: World Bank / WHO「Current health expenditure per capita (current US$)」(SH.XPD.CHEX.PC.CD), CC BY 4.0。