国別科学技術論文数の推移(1996年〜2023年)

米国科学財団 (NSF) の Science and Engineering Indicators を原典として世界銀行 (World Bank) が公開する科学技術論文数データから、対象期間1996年〜2023年・上位30か国分の年次推移を収録しています。値の単位は本(年間発表数)。国際共著論文は著者の所属国に応じて按分(分数カウント)されています。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。

国別科学技術論文数の推移(1996年〜)

Chart ready. Press play to start.

年:
速度:
チャートの操作方法

「再生 / 一時停止」で年次アニメーションを開始・停止、年スライダーで任意の年へ移動、速度セレクタ(0.5×/1×/2×)で再生速度を変更できます。各年は上位12件を表示し、収録データは最新年の上位30件です。

Source: World Bank — Scientific and technical journal articles (IP.JRN.ARTC.SC) · CC BY 4.0 · accessed 2026-08-31

このランキングについて

この指標について。 「国別科学技術論文数の推移」は世界銀行が公開する指標 IP.JRN.ARTC.SC を整形したものです。物理学・生物学・化学・数学・臨床医学・生物医学研究・工学技術・地球宇宙科学の分野で、その年に学術誌に発表された論文の数を国別に数えます。複数国の研究者による国際共著論文は、著者の所属国に応じて按分される「分数カウント」方式です。値の単位はです。

このチャートの見どころ。 1996年に9位(33,621本)だった中国が、首位の米国(313,392本)を2017年に追い抜く瞬間がこのレースの主題です。逆転の年の値は中国464,154本に対し米国435,377本と僅差ですが、2023年には中国932,712本が米国430,843本の2倍を超えます。2016年にインドが日本を抜く場面も見どころです。

注意点。 この指標が数えるのは論文の「本数」であり、被引用数のような研究の質・影響度は測りません。また収録対象の学術誌データベースに基づく集計のため、データベースの収録方針が変わると値も動きます。最新年の値が高い上位30か国のみを収録するので、人口の小さい研究先進国(論文数の絶対値が小さい国)は表に現れない点にも注意してください。

データから読み取れる傾向

2023年の上位は中国932,712本、米国430,843本、インド228,174本、ドイツ108,782本、英国97,536本、日本96,543本です。収録30か国の平均は1996年の29,401本から2010年の55,754本、2023年の95,484本へと3.2倍に増え、30か国の合計は882,031本から2,864,524本まで拡大しました。世界の研究出版そのものが、四半世紀で桁を変えるほど成長したことになります。

最大の主役は中国です。1996年の33,621本は米国の約9分の1で順位も9位でしたが、2005年に165,262本、2010年に307,848本と急増し、2016年には430,350本で米国431,808本にほぼ並び、2017年に逆転しました。その後も伸びは止まらず、2023年の932,712本は1996年の27.7倍にあたります。一方の米国は2021年の471,378本をピークに減少へ転じています。

伸び率で見ると、さらに急な曲線がいくつもあります。イラクは73本から16,724本へ229.3倍、インドネシアは304本から38,992本へ128.2倍、イランは649本から55,085本へ84.8倍に増えました。マレーシア(801本→23,691本)、パキスタン(728本→20,519本)、サウジアラビア(1,660本→24,595本)、タイ(848本→16,656本)も軒並み数十倍で、研究出版がごく一部の先進国の営みだった時代が終わったことを示しています。

インドの動きは順位の入れ替わりとして最も見応えがあります。1996年の18,905本(12位)から2016年に104,740本で日本(101,167本)を、2017年に115,045本でドイツ(109,775本)を抜き、2023年は228,174本で3位に定着しました。韓国も8,867本(17位)から71,724本(9位)へ、ブラジルは7,646本(19位)から58,292本(13位)へ、トルコは5,041本(20位)から50,180本(16位)へ上がっています。

対照的なのが日本です。1996年は88,807本で米国に次ぐ2位でしたが、2006年の112,743本をピークに減少へ転じ、2023年は96,543本で6位まで下がりました。この27年間の増加率はわずか1.1倍で、収録30か国では最も低い伸びです。フランスも46,611本から62,180本へ増えながら順位は5位から11位へ後退しており、絶対数が増えても順位が下がるという相対順位の性質がよく表れています。ロシアは1996年の34,672本から2010年の33,835本まで14年間ほぼ横ばいだった後、2023年に85,558本へ急増した、他にない軌跡を描きます。

雑学クイズ

世界最古の科学学術雑誌とされるのは?

英国王立協会が1665年に創刊した「フィロソフィカル・トランザクションズ」。ニュートンの光学論文などを掲載し、現在も刊行が続く。(出典

学術論文の「査読(ピアレビュー)」とはどんな仕組み?

同じ分野の研究者が、投稿された論文の方法や結論の妥当性を出版前に評価する審査制度。学術誌の品質を支える基盤とされる。(出典

研究者の影響度を測る指標として広く使われる「h指数」とは?

「h回以上引用された論文がh本以上ある」ことを示す指標。2005年に物理学者ホルヘ・ヒルシュが提案し、論文の量と被引用の両方を1つの数字で表す。(出典

あわせて読みたい

出典: World Bank「Scientific and technical journal articles」(IP.JRN.ARTC.SC), CC BY 4.0。原データは米国科学財団 (NSF) Science and Engineering Indicators。