総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ・基礎データ C 経済基盤)」の指標 C350101「卸売業年間商品販売額」から、対象期間1975年〜2022年・47都道府県分の年次推移を収録しています。値の単位は兆円(小数点以下2桁)。集計値(全国)は除外しています。
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このランキングについて
本ランキングは、都道府県別の年間卸売販売額(兆円)を1975年から収録したものです。卸売業(メーカーと小売店の間で商品を流通させる問屋・商社など)の販売額で、最終消費者向けの小売とは区別されます。
データから読み取れる傾向
最新年の首位は東京(190.12兆円)で、2位大阪(54.2兆円)の3.5倍という、本サイトでも屈指の一極集中を示す。卸売は本社・商社・問屋街が集まる場所に極端に集中するためで、商品が物理的にそこを通るというより、取引が東京の本社で計上されることの反映だ。最下位は鳥取(0.69兆円)で、首位とは275倍もの開きがある。
時系列では、東京は1975年の77兆円から1990年代にかけて大きく伸び、その後は横ばい〜微減で推移する。バブル期の取引拡大と、その後の流通構造の変化(メーカーの直販化、ネット取引の台頭で中間流通が圧縮された)が読み取れる。編集部としては、卸売販売額は人口や消費の地図ではなく『商取引の計上地』の地図である点が独特だと考えている。小売販売額のランキングと並べると、消費地と取引拠点のずれがはっきり見えてくる。
東京の系列をたどると、1975年の77.35兆円から1990年の198.94兆円まで一気に膨らみ、これが今も破られていない最高値である。2022年の190.12兆円は過去最高に近いが、32年かけてまだ届いていない。47都道府県の平均も1990年の12.19兆円をピークに2022年は9.72兆円で、名目額でありながらバブル期の水準を2割下回る。物価が上がった分を考えれば、実質の落ち込みはさらに大きい。卸売販売額は「日本経済が一度膨らんで、そのまま戻っていない」ことを最も端的に示す系列のひとつだ。
なお2015年(東京179.11兆円)から2018年(126.22兆円)にかけて全国的に大きく落ちるが、これはこの時期に基礎となる調査が商業統計調査から経済構造実態調査へ切り替わったことの影響が大きい。調査の設計が変われば捕捉される事業所の範囲も変わるため、この段差は実体経済の急変ではない。長期の折れ線を読むときは、2018年前後をまたぐ比較に慎重になったほうがよい。
県別で目を引くのは秋田で、1975年の1.20兆円から1996年に2.32兆円まで伸びたあと縮小に転じ、2022年は1.18兆円と47年前を下回った。名目額で出発点を割り込んだのはこの県だけである。対照的なのが茨城で、1975年は秋田とまったく同じ1.20兆円だったのに、2022年には4.01兆円と3.3倍に達し、順位も28位から15位へ上げた。首都圏に接する物流適地として拠点が置かれた差だろう。倍率で最大は神奈川の3.55倍(4.51兆円→16.03兆円)で、愛媛(34位→21位)や栃木(25位→17位)も順位を上げている。
東京と大阪の差の広がり方も、見方を変えると印象が変わる。東京の2022年(190.12兆円)は1990年のピーク(198.94兆円)の96%まで戻っているのに対し、大阪は86.67兆円から54.20兆円で63%にとどまる。首位と2位の開きが3.5倍に達したのは、東京が伸びたからというより、大阪がバブル期の水準に戻れていないからだ。愛知も1990年の56.34兆円に対して2022年は36.32兆円で64%と、大阪とほぼ同じ戻り方にとどまる。ピーク水準に手が届いているのは東京だけだ。
雑学クイズ
卸売業と小売業の違いは何?
卸売は事業者(小売店や他の卸)向けに販売し、小売は最終消費者向けに販売する。同じ商品でも流通段階が異なる。(出典)
全国の商業の実態を調べてきた、かつての経済産業省の統計は?
商業統計調査。2018年以降は経済構造実態調査に統合された。卸売・小売の販売額の基礎データだった。(出典)
東京・日本橋にある、江戸時代からの歴史を持つ繊維・衣料の問屋街は?
横山町・馬喰町問屋街。全国有数の卸売集積地として知られる。(出典)
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- 都道府県別小売販売額の推移 — 消費者向けの販売(対になる指標)。
- 都道府県別第3次産業割合の推移 — 卸売を含むサービス経済。
- 都道府県別県内総生産の推移 — 経済規模の全体像。
出典: 総務省統計局「社会・人口統計体系」都道府県データ C 経済基盤(statsDataId: 0000010103, C350101 卸売業年間商品販売額), 政府標準利用規約 2.0(CC BY 4.0 互換)。