総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ・基礎データ F 労働)」の指標 F620215「きまって支給する現金給与額(男)」から、対象期間2020年〜2024年・47都道府県分の年次推移を収録しています。値の単位は千円(整数)。賃金構造基本統計調査の現行系列のため期間が短い点に注意が必要です。集計値(全国)は除外しています。
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このランキングについて
本ランキングは、厚生労働省「毎月勤労統計調査」に基づく男性労働者の1か月あたり現金給与総額(千円)を都道府県別に収録したものです。所定内給与に残業代・賞与等を含む名目額で、物価の地域差は調整していません。
データから読み取れる傾向
最新年の首位は東京(475千円)で、神奈川・大阪・愛知・京都と大都市圏が続く。最下位は沖縄(308千円)で、首位とは月額で16万円超、年収換算で200万円近い差がある。本社機能・高付加価値産業の集積と、企業規模・産業構成の違いが、賃金の地域差をそのまま生んでいる。
ただし名目額である点には注意が必要だ。東京は賃金が高い一方で住居費をはじめ物価も高く、手取りの実感(実質的な生活水準)は額面の差ほど開かない。編集部としては、この賃金ランキングは1人当たり県民所得・最低賃金と並べて読むことをすすめたい。3つの「お金」の指標を重ねると、額面・最低保証・世帯所得という異なる断面から地域の経済力が見えてくる。
収録期間は2020年からの5年間と短いが、その中でも動きは小さくない。伸びが最も大きかったのは新潟で、304千円から345千円へと13.5%増え、順位も40位から32位へ上げた。栃木(15位→8位)・埼玉(11位→6位)も大きく順位を上げており、首都圏の外縁部と日本海側の一部で賃金の追い上げが起きている。人手不足が深刻な地方ほど賃上げ圧力が強く働いた結果とみられる。逆に富山は20位から27位へ、沖縄は42位から最下位の47位へ後退した。沖縄の伸びは301千円から308千円へと2.3%にとどまり、全国で最も小さい。首位・東京も436千円から475千円へ9%増えており、賃金の絶対額では地域差が縮まっていない。
ここで最も重要な注意点は、これがすべて名目額だという点だ。2022年以降は物価上昇が続いたため、名目賃金が数%増えても購買力が増えたとは限らない。実質でみた賃金は長く前年割れが続いたと報じられており、このチャートのバーが伸びている期間と、家計の実感が改善した期間は必ずしも一致しない。統計の読み方としては、額面の伸びと物価の伸びを必ずセットで見る必要がある。
もう一つ、「現金給与総額」という指標の中身も押さえておきたい。これは基本給に残業代と賞与を含めた支給総額の月平均で、社会保険料や税を引く前の額面である。残業時間の増減や賞与の支給時期によって月ごとに大きく動くため、単月ではなく年平均で見るのが基本だ。産業構成の影響も大きく、製造業や金融の比率が高い県ほど高く出やすい。1人当たり県民所得や最低賃金と並べて、額面・下限・世帯全体という3つの断面から地域の経済力を確かめてほしい。なお本ページは男性の給与であり、女性を含めた全体や男女差は別の統計を参照する必要がある。男性の賃金だけを見て地域の所得水準を語ると、共働き率の高い北陸のような県を過小評価しかねない——女性労働力率と併読すると、世帯単位の稼ぐ力はまた違う地図を描く。月額16万円の差も、共働きの有無や住居費まで含めれば体感はかなり縮まるはずだ。賃金の地域差は、暮らしの豊かさの地域差とイコールではない。
雑学クイズ
賃金や労働時間を毎月調べる厚生労働省の基幹統計は?
毎月勤労統計調査。2019年に長年の不適切処理が発覚し、統計の信頼性が大きな問題となった。(出典)
物価変動の影響を除いた賃金を、額面の名目賃金に対して何という?
実質賃金。名目賃金を物価指数で割って求め、生活の豊かさの実感に近い指標とされる。(出典)
労働組合が毎年春にまとめて賃上げ交渉を行う日本の慣行は?
春闘(春季生活闘争)。1955年に始まり、その年の賃金相場を方向づける役割を担ってきた。(出典)
あわせて読みたい
- 都道府県別1人当たり県民所得の推移 — 賃金とは別の角度の所得指標。
- 都道府県別最低賃金の推移 — 賃金の下限を決める制度。
- 都道府県別労働時間(男性)の推移 — 給与とセットで見る働き方。
出典: 総務省統計局「社会・人口統計体系」都道府県データ F 労働(statsDataId: 0000010106, F620215 きまって支給する現金給与額(男)), 政府標準利用規約 2.0(CC BY 4.0 互換)。