Our World in Data が公開する国別メタン排出量(CO2換算)データから、対象期間1850年〜2024年・上位30か国分の年次推移を収録しています。値の単位は百万トンCO2換算(小数点以下2桁)。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。
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このランキングについて
本ランキングは、各国のメタン排出量(百万トンCO₂換算)を収録したものです。メタンは二酸化炭素に次ぐ主要な温室効果ガスで、最新年の排出量が多い順に上位30か国を対象としています。
データから読み取れる傾向
最新年の上位は中国(1,591)・インド・米国・ブラジル・ロシア。CO₂排出のランキングと顔ぶれは似るが、内訳は異なる。中国・インドは稲作(水田)と石炭採掘、ブラジルは牛の腸内発酵(げっぷ)と農業、ロシアは天然ガス・パイプラインからの漏出が主な発生源だ。メタンの出どころは『農業・畜産・化石燃料』に大きく分かれる。
メタンが注目されるのは、CO₂より大気中の寿命が短い一方、短期的な温室効果が桁違いに強いためだ。減らせば比較的早く温暖化抑制の効果が出るとされ、近年の国際交渉で削減目標が掲げられている。編集部としては、このランキングはCO₂排出量・1人あたりCO₂排出量と並べて、温室効果ガス対策が二酸化炭素だけの問題ではないことを確認する一枚として読んでほしいと考えている。
このデータの隠れた特徴は、1850年まで遡れる174年の長さだ。産業革命の初期にあたる1850年時点の上位は中国(253百万トン)・インド(201百万トン)で、当時の排出源は化石燃料ではなく水田と家畜——つまりメタンは、石炭や石油の時代が始まる前から「農業の温室効果ガス」として大量に出ていた。中国はそこから2024年の1,591百万トンへ6.3倍になったが、出発点が既に世界一だったという事実は、CO2とはまったく違うこの気体の歴史を物語る。
伸び率の極端な例がイラクで、1850年の0.91百万トンから156百万トンへと171倍になった。油田の随伴ガスの燃焼・漏出という化石燃料型のメタンが、20世紀の石油開発とともに積み上がった典型だ。対照的にフランス(57→63百万トン)やドイツ(最新年56百万トンで収録国中最少クラス)は、174年前とほぼ同じ水準まで戻している——欧州は産業革命期から高水準だったが、炭鉱の閉山と農業の縮小・効率化で長期の削減を実現した。2021年には100か国以上が2030年までにメタン排出を3割減らす「グローバル・メタン・プレッジ」に署名しており、寿命の短いこの気体の削減は、今後10年の温暖化ペースを左右する最速の手段と目されている。
174年の中間点にも意外な景色がある。1937年の首位は米国(375百万トン)で、中国(321百万トン)・インド(300百万トン)を上回っていた——石炭採掘と天然ガス開発が先行した20世紀前半の米国は、農業大国のアジア勢を化石燃料型のメタンで追い抜いていたのだ。その後の順位変動では、イラクが28位から10位へ、ナイジェリアが21位から8位へと産油国が駆け上がる一方、フランスは5位から27位へ、ドイツは6位から30位へと大きく下げた。CO2より地味な存在だったメタンの排出史は、実は「農業の時代→石炭の時代→石油ガスの時代」というエネルギー史の縮図になっている。そして次の時代は「観測の時代」になるかもしれない。近年は人工衛星がパイプラインや埋立地からのメタン漏出を直接検出できるようになり、各国の報告値と実測の突き合わせが始まった。自己申告に頼ってきたこの統計の精度が、これから大きく変わる可能性がある。
雑学クイズ
メタンの化学式は?
CH₄。炭素1個と水素4個からなり、天然ガスの主成分でもある。(出典)
牛などの反芻動物が消化の過程でメタンを出すしくみを何という?
腸内発酵(反芻)。胃の中の微生物が飼料を分解する際にメタンが生じ、主にげっぷとして排出される。(出典)
メタンはCO₂と比べて、大気中の寿命と温室効果にどんな特徴がある?
寿命は短い(約十数年)が、同じ量での温室効果はCO₂よりはるかに強い。削減の効果が早く現れる。(出典)
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- 世界のCO2排出量の推移 — 最大の温室効果ガスとの比較。
- 世界の1人当たりCO2排出量の推移 — 排出責任を人口で割って見る。
- 世界の1人当たり食肉供給量の推移 — 畜産由来メタンの背景。
出典: Our World in Data「Methane emissions」, CC BY 4.0。