世界銀行 (World Bank) が公開する失業率(ILO モデル推計)データから、対象期間1991年〜2025年・上位30か国分の年次推移を収録しています。値の単位は%(小数点以下2桁)。各国で調査方法に違いがあるため単純比較には注意が必要です。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。
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このランキングについて
本ランキングは、ILO 推計に基づく失業率(労働力人口に占める失業者の割合・%)を1991年から年次で収録したものです。最新年の失業率が高い順に上位30か国を対象としています。
データから読み取れる傾向
最新年の上位はエスワティニ(34%)・南アフリカ(32%)・ジブチ・ボツワナ・ガボンと、南部アフリカが目立つ。とりわけ南アフリカの高失業率は、アパルトヘイト後も続く構造的な格差、教育・技能のミスマッチ、若年層の雇用機会の乏しさが背景にあるとされ、数十年にわたり高止まりしている。
失業率は景気循環でも動くが、上位国の多くは景気とは別の構造的失業を抱える。注意したいのは、統計のとり方による国際比較の難しさだ。失業の定義(求職活動をしているか)や、統計に表れないインフォーマル経済の大きさは国によって異なり、見かけの失業率が低くても不安定就労が多い国もある。編集部としては、この指標は1人あたりGDPなど経済水準のランキングと並べて、雇用の量と経済の豊かさのずれを考えながら読むのが面白いと考えている。
1991年の並びを見ると、上位はモンテネグロ(30.12%)・ジブチ・北マケドニア・南アフリカ・ヨルダンで、バルカン半島の旧ユーゴスラビア諸国が目立っていた。それが2025年にはモンテネグロ13.57%(18位)、北マケドニア12.26%(22位)まで下がる。両国とも30年でほぼ半減させており、この表のなかでは最大の改善組だ。上位30か国という切り取りは最新年の高さで決まるため、「かつての最悪」が下位へ沈んでいく動きも同じ画面のなかに残っている。
逆に大きく上げたのはアルメニア(1.77%→12.87%)とジョージア(2.7%→12.1%)で、それぞれ7.3倍・4.5倍という伸びになる。ただしこれを単純な悪化と読むのは危うい。1991年は両国がソビエト連邦から独立した年であり、計画経済の下では制度上ほぼ全員が職に就いている建前だった。失業率の急上昇は、実際に職が失われたことに加えて、それまで統計に現れなかった失業が測られるようになったことも映している。体制が変われば、指標が指すものも変わるということだ。
30か国の平均値は1991年の15.2%から2020年に18.6%でピークを打ち、2025年は17.1%。2020年の突出は新型コロナウイルスの流行による世界的な雇用の縮小である。一方で構成の重心は南部アフリカへ大きく傾いた。ボツワナは13.82%から24.48%へ上がって17位から4位に入り、エスワティニは20.52%から34.2%へ上げて首位に立つ。鉱物資源に依存する経済は成長率が高くても雇用を多く生まないことがあり、経済成長と雇用が連動しない例としてしばしば挙げられる。
もう一組の改善国はアルジェリアで、20.6%から11.63%へ下げて6位から27位まで後退した。入れ替わりに順位を上げたのはイエメン(25位→11位)、ハイチ(27位→16位)、イラク(24位→14位)で、いずれも長期の紛争や政情不安を抱える国が並ぶ。この表の上位は、経済政策の失敗というより社会の不安定さを映していることが多い。失業率という一本の物差しで国を並べたとき、上位に来る顔ぶれが30年でここまで入れ替わるという事実そのものが、この指標の性格をよく表している。景気の良し悪しよりも、制度と治安の変化のほうが大きく効くのである。
雑学クイズ
失業率などの国際的な労働統計を担う、国連の専門機関は?
ILO(国際労働機関)。労働条件の国際基準づくりや統計整備を担う。1919年設立。(出典)
景気の悪化で需要が落ち込んで生じる失業を何という?
需要不足失業(循環的失業)。景気回復とともに減る。これに対し産業構造の変化で生じるのは構造的失業。(出典)
統計に表れにくい、公的に把握されない経済活動を何という?
インフォーマル経済(インフォーマルセクター)。露天商や未登録の労働などで、途上国で特に比重が大きい。(出典)
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- 世界の1人当たりGDPの推移 — 経済水準と雇用のずれ。
- 世界の名目GDPの推移 — 経済規模の全体像。
- 世界の人口の推移 — 労働力人口の背景。
出典: World Bank「Unemployment, total (% of total labor force, modeled ILO estimate)」(SL.UEM.TOTL.ZS), CC BY 4.0。