IHME (Institute for Health Metrics and Evaluation) による「自殺による死亡率(全年齢・両性、人口10万人あたり)」データを、Our World in Data経由で対象期間2000年〜2021年・上位30か国分の年次推移として収録しています。地域差・経済状況・支援制度の差が反映される指標です。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。
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チャートの操作方法
「再生 / 一時停止」で年次アニメーションを開始・停止、年スライダーで任意の年へ移動、速度セレクタ(0.5×/1×/2×)で再生速度を変更できます。各年は上位12件を表示し、収録データは最新年の上位30件です。
このランキングについて
この指標について。 「国別自殺率の推移」は Our World in Data(多くは World Bank・国連等の公的統計を再公開した二次データ) が公開するデータ(OWID Grapher slug “suicide-rates-by-country”)を本ランキングが整形したものです。値の単位は 人口10万人あたり です。
このチャートの見どころ。 編集部として注目してほしいのは、2000年代以降の旧ソ連諸国の大幅な改善だ。世界最高水準だったリトアニアやロシアの率が下がっていく一方、米国は逆に上昇する——豊かさと自殺率が単純に連動しないことを、時系列が静かに示している。
注意点。 本データは IHME の推計値で、各国の届出統計とは値が異なることがあります。自殺の認定・報告の慣行は国や宗教文化によって大きく異なり、実態より低く報告される国もあるため、細かい順位差の解釈は慎重に行ってください。
データから読み取れる傾向
2000 年の上位は旧ソ連諸国が独占していた。ロシア 52.72・リトアニア 50.51・ベラルーシ 39.37・ウクライナ 36.08・ラトビア 34.76 で、「アルコール依存・社会変動・男性中年層の喪失感」など複合要因が指摘される。ところが 2021 年の上位はレソト 30.44・韓国 27.50・エスワティニ 27.47・ナウル 25.66・ガイアナ 25.14 で、顔ぶれはすっかり入れ替わった。韓国は OECD 諸国の中で突出した高さで、競争社会の圧力・高齢者の経済的困窮・若年層のメンタルヘルス問題が背景。日本も世界平均より高く、上位 15〜20 位前後を推移している。
長期トレンドとして、旧ソ連諸国は 2000 年代以降に大幅な改善を見せている。経済安定とアルコール政策が背景。一方、米国は近年逆に上昇しており、「絶望死 (Deaths of Despair)」 (アルコール・薬物・自殺の合計) という概念で社会問題化している。日本は 2003 年の自殺対策基本法以降の各種施策で減少基調を維持してきたが、コロナ禍 (2020〜) で女性・若年層の自殺が一時上昇するなどの局面変化が見られる。本指標はメンタルヘルス政策の効果を測る最も基本的な国際比較指標。
21年間で、この表の上位は完全に入れ替わった。2000年の上位はロシア52.72・リトアニア50.51・ベラルーシ39.37・ウクライナ36.08・ラトビア34.76と旧ソ連諸国が独占していた。2021年の上位はレソト30.44・韓国27.50・エスワティニ27.47・ナウル25.66・ガイアナ25.14である。旧ソ連勢はロシアが10位、リトアニアが7位、ベラルーシが26位、ラトビアが29位、エストニアが30位まで下がった。
下げ幅で見ると、その改善の大きさがわかる。ロシアは−31.36(52.72→21.36、0.41倍)、リトアニアは−28.23(0.44倍)、ベラルーシは−23.65(0.40倍)、ラトビアは−19.37(0.44倍)。いずれも21年で半分以下になった。経済の安定とアルコール政策が背景として挙げられることが多い。この4か国の改善だけで、30か国の平均を大きく押し下げている。
逆に上げた国もはっきりしている。レソトは12.84から30.44へ2.37倍になり26位から1位、エスワティニは12.25から27.47へ2.24倍で27位から3位、韓国は14.97から27.50へ1.84倍で24位から2位、南アフリカは13.37から22.27へ1.67倍で25位から8位である。2000年に下位グループにいた4か国が、そろって上位へ移った。同じ表のなかで、下がる国と上がる国が正反対に動いている。
全体としては水準が下がり、差も縮んだ。30か国の平均は2000年の23.73から2021年の19.82へ、最上位と最下位の差は41.69から15.53へ、3分の1近くまで縮小している。日本はこの30か国のなかで18位。なお本データはIHMEの推計値で、各国の届出統計とは値が異なる。自殺の認定や報告の慣行は国によって大きく違うため、細かい順位差の解釈は慎重に行いたい。
雑学クイズ
自殺率は通常どんな単位で国際比較される?
人口10万人当たりの件数。WHOやIHMEが各国のデータを集計・推計している。(出典)
日本で2006年に成立し、自殺対策を国の責務と位置づけた法律は?
自殺対策基本法。これ以降、相談体制の整備などが進み、自殺者数は長期的な減少基調に転じた。(出典)
9月10日を「世界自殺予防デー」と定め、各国の自殺予防の取り組みを促している国際機関は?
WHO(世界保健機関)。国際自殺予防学会(IASP)と共同で啓発を行っている。(出典)
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こころの健康相談窓口
本ページは各国の統計を国際比較の文脈で紹介するものです。いま死にたいほどつらい気持ちを抱えている方や、身近な人のことで悩んでいる方は、数字のことは脇に置いて、まず相談窓口につながってください。厚生労働省「まもろうよ こころ」では、電話・SNSで相談できる窓口を案内しています(よりそいホットライン 0120-279-338、#いのちSOS 0120-061-338 ほか)。
出典: IHME via Our World in Data「Suicide death rate per 100,000 population」, CC BY 4.0。