世界銀行とUNESCOが公開する「政府の教育費(対GDP比)」データから、対象期間1970年〜2024年・上位30か国分の年次推移を収録しています。国の教育投資水準を示す指標として国際比較によく使われます。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。
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このランキングについて
本ランキングは、World Bank の政府教育支出(対GDP比・%)を1970年から年次で収録したものです。国がGDPのどれだけを公教育に投じているかを示し、最新年の比率が高い順に上位30か国を対象としています。
データから読み取れる傾向
最新年の上位はナミビア(9.1%)・アルジェリア・バヌアツ・モーリタニアと、必ずしも先進国ではない国が並ぶ。対GDP比という指標の性質上、経済規模が小さくても教育を国家の優先課題に据える国は高く出る。1970年の上位はデンマーク・フィンランドといった北欧の福祉国家で、教育を社会の基盤と位置づける伝統が早くから数字に表れていた。
注意したいのは、対GDP比の高さが必ずしも教育成果の高さを意味しないことだ。GDPが小さい国では同じ比率でも1人あたりの教育投資額は小さく、また支出の効率も国によって異なる。編集部としては、この指標は『国家予算の中で教育をどれだけ重視しているか』の表明として読むのがよいと考えている。研究開発費(対GDP比)のランキングと並べると、国が『人』と『知』のどちらに重点投資しているかが見えてくる。
このページを読むときにまず確かめてほしいのは、その年に何か国分の値があるかだ。値のある国数は1970年の4か国から徐々に増え、2020年の27か国が最多。ところが2023年は17か国、2024年は9か国しかない。教育費の統計は各国の報告が遅れがちで、最新年ほど歯抜けになる。つまり最新年の順位は上位30か国を並べた順位ではなく、その年までに報告を済ませた9か国のあいだの順位でしかない。
収録の厚みも国によってまるで違う。最も長いのはフィンランドの49年分で、デンマーク43年、エスワティニ39年、モロッコ36年と続く。一方でアメリカ領サモアは2006年の14.72%という1点しか値がなく、折れ線としては現れない。ミクロネシア連邦は1972年の次が1999年で、27年の空白がある。線がつながって見える国と、ほとんど点でしかない国とが同じ表に並んでいることは、比較の前提として押さえておきたい。
対GDP比という作りのため、分母が縮んだだけで比率が跳ねることもある。クウェートの1992年は14.20%だが、1986年は5.40%、1996年は5.86%と前後は5%台にとどまる。湾岸戦争でGDPが大きく落ち込んだ年にあたり、教育費が3倍近くに増えたと読むより、分母が縮んだ結果と見るほうが自然だろう。同じ形はフィンランドにも見える。1990年の5.34%が1993年には7.50%まで上がっているが、これは深刻な不況で経済そのものが縮んだ時期と重なっている。
単年だけ極端に落ちる値にも注意したい。ナミビアは2016年10.59%・2018年8.88%に挟まれた2017年だけが1.40%、セネガルは2009年4.92%・2011年4.90%のあいだの2010年だけが0.54%である。前後と桁の合わない値は、報告漏れや一部の支出しか計上されていない可能性を疑ったほうがよい。逆に長期の方向がはっきり読める国もある。レソトは2003年の13.22%をピークに下がり続け、2024年は6.62%とほぼ半分になった。ボツワナも2011年の10.83%から2020年の8.06%へ、モルドバは1996年の9.90%から2023年の6.56%へ下げている。いずれも比率が下がったからといって教育予算が削られたとはかぎらず、経済が成長して分母が大きくなった可能性も同じだけある。この指標では、動いたのが分子か分母かを常に問い直すことが読み方の要になる。
雑学クイズ
国の経済規模を示す指標で、教育支出の『対GDP比』の分母になるものは?
GDP(国内総生産)。一定期間に国内で生み出された付加価値の総額。(出典)
すべての子どもに教育を受けさせる、世界的に目標とされてきた教育を何という?
初等教育の完全普及(万人のための教育・EFA、SDGsの目標4)。国際社会の共通目標とされてきた。(出典)
教育の機会均等を保障するため、多くの国で公的に無償化されている教育段階は?
義務教育(多くの国で初等・前期中等)。日本では小学校・中学校がこれにあたる。(出典)
あわせて読みたい
- 世界の中等教育就学率の推移 — 教育支出の成果側。
- 世界の研究開発費(対GDP比)の推移 — 知への投資の比較。
- 世界の名目GDPの推移 — 比率の分母となる経済規模。
出典: World Bank / UNESCO「Government expenditure on education, total (% of GDP)」(SE.XPD.TOTL.GD.ZS), CC BY 4.0。