世界銀行 (World Bank) が公開する漁獲量(天然捕獲)データから、対象期間1960年〜2023年・上位30か国分の年次推移を収録しています。値の単位は百万トン(小数点以下2桁)。海面・内水面の天然捕獲の合計で、養殖は含みません。集計値(地域別・所得階層別)は除外しています。
Chart ready. Press play to start.
チャートの操作方法
「再生 / 一時停止」で年次アニメーションを開始・停止、年スライダーで任意の年へ移動、速度セレクタ(0.5×/1×/2×)で再生速度を変更できます。各年は上位12件を表示し、収録データは最新年の上位30件です。
このランキングについて
この指標について。 「国別漁獲量の推移」は 世界銀行 (World Bank) が公開するデータ(指標コード ER.FSH.CAPT.MT、原典 FAO)を本ランキングが整形したものです。値の単位は 百万トン です。
このチャートの見どころ。 編集部のおすすめは日本のバーを最初から追い続けることだ。世界一の漁業国が200海里時代とマイワシ激減でピークの4分の1まで縮んでいく——本サイトでも屈指の「主役転落」の物語になっている。エルニーニョ年のペルーの乱高下も見ものだ。
注意点。 この統計は天然の漁獲のみで、急成長している養殖業は含みません。また各国の自己申告ベースの統計のため、中国の報告値が過大ではないかという指摘が FAO や研究者の間で長く議論されています。
データから読み取れる傾向
このランキングの主役は、かつての日本だ。本系列でロシアの値が現れるのは 1992 年からで、それ以前のソ連の漁獲はこの表に載っていない。収録されている範囲では 1960〜80 年代の首位は一貫して日本で、ピークの 1984 年には 1,162 万トンを揚げる世界最大の漁業国だった。それが 200 海里時代の到来(排他的経済水域の一般化)による遠洋漁業の縮小、マイワシ資源の激減、漁業者の高齢化が重なって長期減少に転じ、最新年は約 290 万トンとピークの 4 分の 1 程度まで縮小。レース上では 1990 年代以降、バーが少しずつ短くなりながら順位を譲っていく姿が見える。
入れ替わりで独走態勢に入ったのが中国で、最新年は約 1,340 万トンと 2 位インドネシア(約 780 万トン)を大きく引き離す。もう一つの見どころはペルーのバーの暴れ方だ。ペルーの漁獲は魚粉用のアンチョベータ(カタクチイワシ)1 種に極端に依存しており、豊漁年は単独で世界一に躍り出る一方、エルニーニョの年(1972〜73 年、1982〜83 年、1997〜98 年など)には数分の一に激減する。気候変動が漁業に与える影響を、半世紀分の振れ幅として体感できるデータになっている。
日本の転落はこの表で最も大きな出来事だ。1960年の5.95百万トンから1984年の11.62百万トンまで倍増したあと、2023年は2.90百万トン。ピークの25%、1960年と比べても0.49倍である。1960年から1981年まで一貫して首位だったのが、2023年は8位。減少幅−3.05百万トンは30か国で最大で、2位のカナダ(−0.35)の8倍を超える。
入れ替わったのは中国だ。1960年の2.22百万トンから2002年に14.43百万トン、2023年は13.42百万トンで首位。1960年比6.05倍である。インドネシアは0.68から7.82百万トンへ11.50倍で10位から2位、インドは1.12から6.18へ5.52倍、ベトナムは12位から7位、メキシコは19位から12位へ上がった。生産の中心が北半球の高緯度からアジアの熱帯・亜熱帯へ移っている。
ロシアの線は1992年から始まる。それ以前はソ連としての統計で、この表には載っていない。1992年の初値がいきなり5.56百万トンなので、折れ線は左から見ると突然立ち上がったように見える。2023年は5.40百万トンで4位、順位としては30位から4位への「上昇」と記録されるが、これは漁獲が増えたのではなく統計上の国が生まれたためである。折れ線が途中から始まる国は、この読み方に注意したい。
減った国は日本だけではない。イギリスは1.02から0.72百万トンへ0.71倍で8位から29位、カナダは1.08から0.73へ0.68倍で7位から27位、スペインは0.91から0.77へ9位から25位である。いずれも1960年代の主要漁業国だった。30か国の平均は0.84百万トンから2.50百万トンへ増え、2018年の2.67百万トンがピーク。全体としては増えながら、かつての上位が退場していくという構図になっている。
雑学クイズ
ペルーの漁獲量を世界トップ級に押し上げている、魚粉の原料となる小魚は?
アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)。単一魚種としては世界最大級の漁獲量を誇り、大半が魚粉・魚油に加工され養殖飼料などになる。(出典)
ペルー沖の海水温が上がりアンチョベータが激減する、数年おきに起きる気候現象は?
エルニーニョ現象。1972〜73年のエルニーニョと乱獲が重なったアンチョベータ漁の崩壊は、漁業資源管理の教訓として有名。(出典)
沿岸国が漁業資源などの主権的権利を持つ「200海里」の水域を何と呼ぶ?
排他的経済水域(EEZ)。1970年代後半から各国が設定を進め、国連海洋法条約(1982年採択)で制度化された。遠洋漁業中心だった日本の漁獲減少の一因。(出典)
あわせて読みたい
- 国別1人当たり肉供給量の推移 — 動物性タンパク源のもう一方の柱。
- 世界の1人当たり食肉供給量の推移 — 動物性タンパク源の供給を比較。
出典: World Bank「Capture fisheries production (metric tons)」(ER.FSH.CAPT.MT, 原典 FAO), CC BY 4.0。